らくがき-Ya!【本館】/【Fan Art】-ストレイト・ジャケット・おバカな小話-

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「ところでさぁ、話は変わるんだけど……」
 ネリンのグラスにウイスキーを注ぎ足しながら、フィリシスが切り出した。
 ムーグ邸のだだっ広い部屋の一つ、フィリシスの私室で飲んでいた時の事である。
「その後どう? レイとは上手くいってるの?」
 問いに対し、グラスを受け取りながらほろ酔い気分のネリンが答えた。
「上手くっていうか、まあまあですかね――。相変わらず人の言う事聞かないんですよー、あの人ったら。困ったもんですよ――」
「ふ――ん。そりゃ大変だねぇ」
「何か良い方法は無いものですかねぇ……」
 ネリンは色々と思い出したのか、疲れたように深く息を吐き出した。
「……レイの弱点、教えてあげようか?」
 グラスを口元に運びながら、何気ない風でフィリシスが呟く。
「ホンとーですか!」
 魅力的な言葉へ素直に飛びついた監督官を見て、フィリシスの笑みが深いものに変わる。しなやかな獣を思わせる瞳がきらりと光ったのを、ネリンが気づくことはなかった……。

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 初めのうちこそ、青年の笑える話を交えながらそれらしい話題を振っていたフィリシスだが、どういう訳だか方向がずれているように感じる。話を聞きながらネリンは、心中で首を傾げていた。

「──んで、やっぱり耳の後ろかしらねえ。耳朶は意外と平気なんだけど、耳の後ろは駄目なのよ。息吹き掛けられただけで固まるから」
「ふーん……?」
「指でそろっとなぞったりすると猛烈に嫌がるわよー。猫みたいに首竦めてさぁ、必死に逃げようとするから。凄い面白いから今度やってみなさいよ」
「ははぁ……?…………」
 フィリシスの口から紡がれる言葉が、ぼちぼち理解できなくなり始めている。
 いや、件の青年は耳の後ろが駄目だというのは分かった。が、それが目下の悩みと関連するのだろうか?
 おかしいと思いつつ、ネリンもすっかりアルコールがいきわたり正常な判断などできなくなっていて、フンフンと適当に相槌なんぞうっていたのだが。
「えーと……、今、何の話してるです?」
「ん~? もちろんレイの弱点の話」
 確認してみれば、極自然にフィリシスがそう答える。
「あと、脇腹かなぁ。指先を5本とも使って、こうやってふわ~っと撫でまわしたりとかすると効果的ね」
「それって、あのぉ…………」
 判断力が鈍くなっていたネリンも、何とはなしにフィリシスの話が分り始めた。
「何よ、男にゆーコト聞かせるんならやっぱりコレでしょ? 覚えておいて損は無いよ」
 顎に手をやり、うんうんと頷いているフィリシス。
 恐る恐るネリンは訊ねた。
「あの~~。ど、どこでそれを使えと……?」
「やーだ、決まってるじゃない、そんなの」
 フィリシスは意味ありげに口角を上げ、ふふんと含み笑う。
「!!(やっぱり~~~~っ!)」
 どうしようもなくそういう話だと遂に理解したネリンは、手の中のグラスを落としそうになった。酔いが遠くへすっ飛んでいく。
「それでさぁ、レイって鈍そうに見えて、身体の方は思ったより敏感でねー……」
 フィリシスはネリンの反応などお構い無しだ。
「い、嫌っ! もうイイです、イイってばっ!!」
 上機嫌で話し続けるフィリシスに拒否を示すのだが、彼女の唇は休むことなく言葉をつむぎ続ける。