らくがき-Ya!【本館】/【Fan Art】-ストレイト・ジャケット・おバカな小話-

 男の一人暮らしは色々あるんだよ(笑)。
 旧題[バスタイム]

2006/06/26 初稿
2006/12/25 改稿
2009/10/22 改稿
2014/07/14
 HP掲載に当たり加筆修正。

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 シャワーの水音に紛れ、微かな音を聞いた気がして、レイオットは振り返った。ゆっくりとした動作で、浴室を仕切っているカーテンを引くと、赤い色が視界に飛び込んでくる。最近やっと慣れてきたとはいえ、こんな所で見るとやはり動揺は大きい。
「カペルテータ……」
 分っていても溜息と呟きは止められない。
 故あって同居を始めたものの、何故かどこにでもついてくる子供は、バスルームにまで入り込んでいた。
 少女は思考の読めない表情のまま、レイオットの身体を上から下までぐるりと眺め、静かに言葉を紡ぎ出した。

「手伝ったほうが良いのでしょうか?」
「遠慮する」

 即答だ。

 少女の視線が、自分の下腹部を平然と見つめている。羞恥心がないのか、あっても表現の仕方を知らないのか。
 注意すればいいのか、いや、この場合それは何か違う。では、適当に冗談の一つでも飛ばして流せばいいのか、それも変だろう。
 一見冷静に見せかけながらも、レイオットの内心はかなり混沌としていた。
 さりげなくタオルを腰に巻きながら、自分を落ち着かせるようにゆっくりと言葉を続ける。
「悪いが、そういう趣味は無いんだ。ところで、俺が風呂に入っている時は付いてくるなって、前にも言った気がするんだが。記憶違いかな?」
「確かに言いました。ですが……、私はただ……」
 少女が言い淀んだところに、レイオットは言葉を被せた。
「背後を取られるようで、どうにも落ち着かないんだ。何処についてくるのも勝手だけれど、これだけは守ってくれないかな? お互いのためにも」
 できるだけ柔らかい口調で、刺を含まないように慎重に話し掛ける。
「……解りました」
 間をおいて答えたカペルテータの声が、微妙に不服そうに聞こえたのは気のせいだろうか。
 赤い色が視界から居なくなり、気配が完全に遠のいてから、レイオットは視線を下げる。どれ程言葉を尽くした所で、こんなことをやっていては説得もへったくれもあったものではない。普通の子供なら完全に軽蔑対象になるだろう。いや、もういっそ近寄らなくなれば、こちらも楽なのに。
 再び溜息が洩れた。
「萎えたな……」
 これからは忘れずにドアに鍵を掛けよう、心密かにそう誓うレイオットだった。

──END──