らくがき-Ya!【本館】/【Fan Art】-ストレイト・ジャケット・普通の小話-

06/06/27
 家族の象徴、証。捏造ですが、鍵を持っていたらいいなーと思いつつ。

2006/10/17 誤記訂正。
2009/11/18 一部加筆。
2014/07/13
 HP掲載にあたり加筆修正。

●展示作品の作者はさんたですが、元作品の著作権は各原作者や関係者にあります。
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 出掛けようとして、テーブルの上に置かれていたキーホルダーに手を伸ばす。
「……っと」
 しかしそれは青年の指先から滑り落ちた。甲高い音と共に床に転がったそれを、ネリンが拾い上げる。
「これ……何の鍵ですか?」
 レイオットにキーホルダーを渡しながら彼女が尋ねた。示されたのは、すっかりメッキの剥げ落ちてしまった鍵。
「こっちは家のですよね。そっちは車庫だし、これは車で……。では、これは?」
「別に、何処の鍵って訳じゃあないが」
 それは、もう何処も開く事の無い鍵。二度と使われる事の無い鍵だった。
「?」
「……お守りみたいなもんかね」
 少しだけ考え、柄にもなくそう言うと、レイオットは幽かに笑った。

 必要が無くなっても手放せなくて、なんとなく何時までも持っている。捨ててしまってもいいのだけれど、邪魔になるわけでなく、あっても別に困らない。
 今思えばくだらない理由ではあるが、子供の頃の自分には、それはとても大切な物だった気がする。

  帰る場所がある。

  誰かと繋がっている。

 何の変哲も無い普通の鍵が、緩やかに心を満たしてくれた。けして長いとはいえない、けれど短くも無い時間。その間だけは確かに、自分は独りではなかった。

 時折ふと帰りたくなる。
 今は存在しない場所へと続く、それはささやかな形。

──END──